お金は、愛のかたち|画家として生きるということ
「お金って、愛だと思いませんか?」
私は、そう思っています。
でもこの考えを口にすると、「アーティストが富を求めるのは邪道だ」と言われることがあります。
「お金よりも表現を大切にしなさい」と。
けれど――お金がなければ、作品づくりに専念することすらできません。
お金=敬意=愛
誰かが作品を見て「欲しい」と思ってくれる。
それはその人の中にある“共鳴”の証です。
そして「お金を払いたい」と思うのは、その共鳴への敬意の表れ。
お金は冷たいものじゃありません。
むしろ、作家への敬意であり、愛のかたちです。
もちろん、「売れるための絵」を描くことには抵抗があります。
でも、自分の個性を愛してくれる人からお金を頂き、
その愛に作品というかたちでお返しすること――
それはとても自然で、美しい循環だと思うのです。
「不幸な芸術家」幻想から抜け出したい
「苦しんでいる芸術家こそ本物」
そんな風潮が、まだ少し残っています。
けれど、一生不幸な画家が好きなタイプって、なかなかのサイコパスだと思う。
ほとんどの作家は、はじめはもがいています。
アルバイトをしながら、眠る時間を削ってキャンバスに向かう。
それでも「描きたい」という気持ちが止められない。
そんな苦節の先に、「愛(お金)」という報酬を目指して生きているのです。
作家にとっての財産とは
作品の中には、
アイデア、技術、経験、個性、すべてが詰まっています。
それを「欲しい」と思ってくれる人がいて、
作品がその人の生活の中で息づいていく。
その瞬間、作家の想いが現実の世界に根を下ろす。
お金のやり取りは、「あなたの世界を受け取りたい」という温かい約束です。
無料の評価では生きられない
評論だけして悦に入る人もいます。
でも、無料の称賛は食べられない。
私たちは、評論家の“エサ”になるために作品を作っているわけではありません。
作品は、見てもらい、誰かの手に渡ってこそ完成する。
絵が飾られ、日常の中で人の心を動かしてこそ意味があるのです。
「好きなことを仕事にしていていいね」と言われるけれど
「好きなことを仕事にできて羨ましい」と言われます。
でも私は、好きでもない仕事を続けられる人の方が羨ましい。
私には、それができない。
これしかできないんです。
私が私らしく生きる方法は、絵を描くことしかない。
悠長に夢を追っているわけじゃない。
絵を描くことは、生活であり、生きることそのもの。
動物たちへの愛が原動力
私の作品づくりの中心には、いつも動物たちがいます。
特に、私の愛猫たちは創作の原動力そのもの。
彼女たちを幸せにするためには、
より多くの人に作品を見てもらわなければならない。
そのためにはお金が必要。
でもそれも、愛のかたちのひとつです。
「画家」は立派な職業です
日本では、まだ「画家」という職業が社会的に認知されていないと感じます。
フリーランスの求人サイトを見ても、
歌手・作曲家・デザイナー・イラストレーターはあるのに、
「画家・芸術家」は項目にない。
でも、絵を描いて生計を立てる人が増えなければ、
次の世代に夢を見せることもできない。
表現を仕事にすることは夢ではなく、職業です。
働くぞ。愛を描くために。
だから私は胸を張って言います。
お金は、愛のかたち。
作品に込めた愛が、誰かの愛としてお金に変わり、
また次の作品として世界に還っていく。
私はこれからも、
動物たちを、宇宙を、生命を、
そしてこの「愛の循環」を描き続けます。
働くぞ。愛を描くために。
haruna manaka/おはるのあーと

✦ 間中遥南(おはる)|Oharu Art
東京在住の画家。動物や自然をテーマに、
「ネオンコズミック」な世界を描く。
愛猫たちをミューズに、宇宙的で鮮やかな生命の姿を表現。