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もがいてもがいてまたもがいて

#おはるのあーと#アーティスト#仕事#現代アート#画家#画家になるには#絵画オーダー#間中遥南

昨年、画家として独立してからの一年は、まるで息をする暇もないほどに動き続けた日々だった。

展示の準備、営業、オーダー制作。

次から次へとやることがあって、いつの間にか「売る絵」ばかりに手をかけて「描くこと」そのものから遠ざかっていた。

絵を売って生活するなんて難しいと言われているのに、本当にありがたいことだった。

けれど目の前の予定をこなすことに必死で、心の余裕が消えていた。

愛猫が病気になっても、側に居たいと思いながらも手を動かし続けた。

そんな自分にこのままではいけないと感じて、宣伝活動も兼ねて配信を始めた。

どうにか形にしたくて、毎日を頑張った。

配信を重ねるうちに見てくれる人が増え、それが励みになった。けれど、愛猫ベルが亡くなった。

心が空っぽになっても「止まったら終わる」と思って、また配信を続けた。

展示も同時進行で進めていたから、気づけばいろんなことに追われ、また絵が描けていなかった。

配信では、画家としての自分よりも「配信者」としての自分が前に出ていた。見る人を楽しませることばかり考えて、本来の自分を置き去りにしていた。

ふと「私は何のためにこれをしているんだろう」と思った瞬間、心がぽっかりと穴の空いたようになった。全部を放り出して逃げることはできない。

だからこそ、全部を抱えきれない自分を責めた。

半年前に思い描いていた「理想の自分」と今の自分があまりにも違っていて、どこにも逃げ場がなかった。

苦しかった。

限界を感じて、同居しているパートナーに相談した。

少しの間だけでも療養したいと。

そうして私は実家に帰った。

何もできないダメな自分だと思っていたのに、ただ帰ってきただけで家族は心から喜んでくれた。

あたりまえの家事を少し手伝うだけで、両親は「ありがとうねえ」と笑ってくれた。

何でもないその光景に涙が出そうになった。

「もっと頑張らなきゃ」「もっとちゃんとしなきゃ」と自分を追い込んでいたけれど、実家ではただ生きているだけで喜んでくれる人がいる。

大袈裟に聞こえるけれど、「生きているだけでいいんだ」と感じた。

自分の価値を下げていたのは、自分自身だった。

そこで、私はやっと気づいた。何よりも大切にすべきことを。

「自分の一番好きなことをして生きていく」

それだけは、ずっとブレていなかった。だけど、努力も失敗も、そこから得た学びも、私は自分で全く評価していなかった。

たくさん考えたあと、ふと考えることをやめてみた。頭を空っぽにして、田舎の空気を吸い、風を感じ、一面に広がる田んぼを眺めた。時間がゆっくり流れていくのを感じながら、ただ静かに過ごした。そして、久しぶりにひたすらに筆を取った。

何も考えず、ただ描きたいものを、描きたいように描いた。

すごく良い絵が描けた。

心からの愛がこもった絵に見えた。

吹っ切れたような、何かが溶けていくような感覚だった。

爽快で、自由で、健やかだった。

「これだ」と思った。私が戻りたかった場所はここだ、と。

そうして東京に戻ってきた。

今は心がとてもクリアだ。

もう一度、まっさらな気持ちで、自分の歩みを再始動する。

焦らず、比べず、見失わず。

ただ、自分の手で、自分の世界を描いて、それをただ届けるだけの生き物になるぞ。

来世は絶対に猫。

もがくぞ。

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