よく聞かれること。
展示とかに出るとよく聞かれる。
「絵に対する想い」
正直????????ってなっちゃうんだよね。
毎日毎日、あたしはあたしじゃない。
昨日のあたしと、今日のあたしは違う。
同じ絵の続きを描いていても、すごく捗って細かいところまで緻密に描ける日もあれば、
「どうやって描いたの?」と自分で自分に質問したくなるような日もある。
爽やかに目が覚めて、気持ちよく筆が進む日もあれば、
楽しい一日を過ごして、その余韻のまま明るい色を塗りたくる日もある。
心が荒んでモヤモヤしている日だって、
二日酔いで頭が痛い日だって、
どんな日でも、あたしは絵を描く。
だから、あたしの作品は一日では完成しない。
あたしは、同時にたくさんの絵を描く。
こっちの絵が行き詰まったら、あっちの絵に向かう。
その日の気持ちにしっくりくる絵を選んで、気が済むまで描いて、
また別の絵に手をつける。
そうやって、たくさんの「その時のあたし」が交代で作り上げた作品に対して、
「この絵は、どんな思いで描いたんですか?」って聞かれることがある。
正直困ります。
あたしの絵は、主に直感。
下書きなし。
「これ、描きたい」と思った瞬間に筆を持って、思いつくままに描き始める。
だから、最初のイメージどおりに完成することなんて、ほとんどない。
途中で思いがガラッと変わって、
「やっぱりこうしたい」って、最初とまるで違う絵になっていくことも多い。
その日の気分が筆に乗る。
穏やかな気持ちのまま描き続けることもあれば、
途中でイライラが募って、ガリガリと強い線を引いてしまうこともある。
逆に、気持ちが落ち込んでるときに明るい色を重ねて、
「よし、少しは元気になったかも」なんて気分転換になることだってある。
絵ができあがったとき、あたしはいつも思う。
「この作品には、いろんなあたしが詰まってるな」って。
だから、完成した作品は、あたしの日々の思い出みたいなもの。
そのときどきの気持ちが全部混ざり合って、
怒ったあたしも、笑ったあたしも、泣いたあたしも、
その瞬間のあたしが積み重なってできあがったのが、あたしの作品。
そんな絵に、
「どういう気持ちで描いたんですか?」って聞かれても、正直、答えられない。
「あのときのあたし、どんな気持ちだったっけ?」って、
あたし自身にだってわからないことのほうが多いんだ。
見た人が、好きに感じ取ってくれれば、それでいい。
嬉しく感じるなら、それでいいし、
悲しいと感じるなら、それも正解。
「なんか気になるけどよくわからない」でも、もちろんいい。
あたしは、言葉で説明するのが得意じゃないから、絵で表現してる。
「この絵には、こういう意味があって、こんな気持ちで描きました」なんて、
うまく説明できない。
だから、そんな難しい質問しないでほしい。
ただ、見たままに感じてもらえたら、それが一番うれしい。
あたしの絵は、あたしの思い出。
あたしの記憶や感情が積み重なった、あたしそのもの。
だからこそ、あたしはこれからも、気分のままに、
好きな絵を、好きなように描き続ける。
そういう人間です。
おはるのあーと/haruna manaka
