画家あるある??
「どこの大学出られたんですか?」という質問を時々受けます。
私は自信を持って、はっきりと、独学ですと答えている。
だって本当に独りで、たくさん、たくさん勉強してきた。
絵のこと、色のこと、構図のこと。
ただ描きたいから、知りたいから研究した。
先生も特にいないけれど、疑問が出たら調べて、描いて、失敗して、また描いて。
画家を自称してからはまだ数年だけれど
それを何年も、何百回も繰り返してきた。
私は2歳のころからずっと絵を描いている。
けれど高校生のとき、進路の選択肢に「画家」という項目はなかった。
早く自立したかった10代の私にはそんなもの、現実的な職業として考えられなかった。
会社員の間は、息抜き程度に模写をしたりする程度。
それでも私は、描くことがずっと好きだった。
社会から解放されて、自分の本当に好きだったことと向き合ってみたら、やはり絵だった。
描きたいものが頭に浮かぶ。絵で表現したい。
けれど、思うように表現できない。
そんな壁に何度もぶつかっては、何度も乗り越えてきた。これからだってそう。
私はずっと学び続けるし成長すると思う。
「どこの美大を出られたんですか?」と聞かれることは度々ある。
その質問の意図は、いろいろ考えてしまう。
もしかしたら「美大を出たかのように上手ですね」という褒め言葉のつもりかもしれない。
でもそれは、学歴と作品の質を無意識に結びつけているということではないか。
それとも、学歴があって当然という固定観念から来ているのか。
作品そのものよりも、どの学校を出たかでアーティストの価値を測ろうとするのか。
いろんな作家さんと出会って思うのは、本当に創作をしている人は、他人の作品にいちいちケチをつけたり、本人に向かって技法や価値観を押し付けたりしない。
尊敬する作家さんに相談をしてみれば、快くアドバイスしてくれたりもする。
そういうことをしてくるのは決まって、いわゆる“美術をよく知っている人たち”だったりする。
資格だけ持ってる学芸員風の老人、趣味で何十年と絵を見てきたという自称アート愛好家、そして昔、画家になれなかった自分を今でも引きずっている人。
若手作家捕まえて、「光と影が正しくない」だの「この技法のほうがいい」とか、「構図が弱い」とか、「20年後もこのスタイルで描くのか」とか、要らぬアドバイス、言いたい放題だ。
でもね、そんなに詳しいなら、ご自身が画家になればいいのでは?
歴史や知識があっても、描かない人が、描いている人に対して指図していいなんてルールは、どこにもない。
それに、写実的で正確な絵だけを見たいなら、写真を見ればいい。
写真はいつでも、正確で、現実のままを写し出してくれる。
けれど、アートは違う。
アートは人の心と直結している。
絵の具を散らし、形を乱し、思考のはざまで生まれた「混沌」がそのまま残っている。
それが美しいという人もいるし、理解できないという人もいる。
そしてなぜ写実的に描けない前提で指摘してくる???
写実的にきれいきれいきれいに描いて自己表現できるならそれでもいいよ。
アートは“正しさ”を競うものじゃない。
私の絵を、好きだと言ってくれる人がいる。
新作を楽しみにしてくれて、そしてその価値にお金を払ってくれる人がいる。
だから私は、その人たちのために描く。
見てくれる人がいるから描ける。
好いてくれる人がいるから、私は描き続けられる。
大きな承認欲求に突き動かされて活動ができる。
好きじゃない作品をわざわざ見て文句を言うより、あなたの好きなアーティストを全力で応援したらどうでしょう? そっちのほうが、きっと気持ちがいいはず。
なんてねー!
ちょっと多方面にケンカを売ってしまいそうだけど、でもそのくらいの気概がなければ、個性なんてあっという間に「知識人」たちの圧に負けてしまう。
私はフリーランスの女画家。
強くあらねば。
“正しい絵”なんて、人それぞれ。
“美しい”の定義も、人それぞれ。
私は、アートから自由を奪い、価値観を押し付け、他人の表現にいちいち文句をつけて気持ちよくなる人たちの「エサ」にはなりたくない。
絵が苦手、っていう人が多いのは、子供の頃に個性を傷付けられたんだと思う。
誰もが自由に、描きたいものを描いていい。
1人でもいい。
誰かの心に届くならそれで充分なんだよ。

haruna manaka/おはるのあーと
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