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私が人を描かないのは

#おはるのあーと#アーティスト#アート#現代アート#画家#画家になるには#絵画オーダー#間中遥南

作品を見てもらったとき、よく聞かれる質問がある。

「人間は描かないんですか?」

それを聞かれると、少しだけ、心の奥がざわつく。

別に怒っているわけではない。

でもどこかで、またかという気持ちがわいてしまう。

きっと、何気ない一言なんだと思う。

質問してくる人に悪気はない。

「人間が描かれていない=描けないの?」

「人物こそアートの王道なんじゃないか?」

そんな無意識の価値観が、あの一言の中に混ざっている気がする。

でも私は、描かないんじゃなくて、描いていない。

描こうとしなかったわけじゃないし、描けないわけでもない。

むしろ昔は、何度も何度もチャレンジしてきた。

アニメキャラ、ハリウッドスター、家族の顔。

自画像も、模写も。

それでもこうして人を描かないという選択をしているのには理由がある。

私は、人間じゃない存在に惹かれる。

金魚、猫、宇宙に浮かぶ獣。

そういった、どこかあいまいで、でも確かに“生きている”ものに、

人間以上の温度や感情を感じる瞬間がある。

もちろん、人間にも魅力はある。

でも同時に、人間にはあまりに多くの「欲」がまとわりついている。

強欲さや、支配欲や、承認欲求。

それが表情にも、体にも、まるごとにじみ出てしまう。

私自身も、そうした「欲」に心が引っ張られる瞬間がある。

それを見つめるのが、正直ちょっと怖いのかもしれない。

自分の中にもある「こう見られたい」「評価されたい」という思い。

それを自画像に描き込むことへの後ろめたさや恥ずかしさ。

誰かの顔を描くことが、まるでその人の“価値”を自分が決めるようで、

時々、ものすごくおこがましく思えてしまう。

そういうものに真正面から向き合うには、

私はまだ少し覚悟が足りないのかもしれない。

それに比べて、金魚や猫を描くときの私は、ずっと自由で、まっすぐだ。

「これは美しい」と思った感情だけで筆が動く。

そこに余計な理屈も見栄もない。

動物が好きなんです。の裏に色々な思いがある。

「人間を描けば売れるのに」と言われることもある。

似顔絵だの、遺影だの。

でも、描きたいと思えないものを無理に描いてまで得た評価は、

私にとってそんなに嬉しいものではない。

そして人間そのものに愛を持って描ける画家は私じゃなくともたくさんいる。

それなら、自分の目と手で選んだ存在を描きたい。

そこに、私が込めたい「人間らしさ」があるのだと思う。

だから、あの質問をされたら、私はこう答えたい。

「描きたいと思える人間が、まだ少ないんです」と。

そのうち描きたくなる日が来るかもしれないし、

この人のこの瞬間を残したいと思える相手が現れたら、

自然と筆が動くかもしれない。

でも今はまだ、人間じゃない何かを通して、

人間の奥にあるものを描きたい。

私は、そういう描き方をしている画家です。

これは、最近唯一描けた人型の生き物。

全ての欲望を持たない女神。誰でもない。

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